PROFILE

 1989年(平成元年)9月、ここ飯綱東高原にログハウスを建て、東京と長野とのデュアルライフをしています。2018年の9月で30年になりました。小さいときからの憧れの信州(祖父のふるさとが高遠)。いつか信州に居を構えたいという思いと、若い頃から各地の山を登り、山の魅力に取り憑かれて、身近に山が見えるところで生活がしたいという思いが、ここに導いてくれたのでしょうか。「縁」が「縁」を生んで、土地の購入、ログハウスの建設と、話がとんとん調子に進んで、気がついたときにはデュアルライフが始まっていました。平成元年9月15日ことです。

 そして、毎週のように、土曜日になると、早く家に帰り、子供たちを保育園から引き取り(当時4歳と0歳)少しでも早く山の空気を吸いたいがために出かけました。今でこそ上信越道を利用して、東京からログハウスまで3時間45分ぐらいで行くことができますが、当時は、藤岡ICまでしか高速道路が開通していなくて、ログハウスへ行くまでに大変苦労したことを思い出します。初めの頃は、6~7時間。すいている道を探して、5時間、高速道路が徐々に先に延びて4時間。段々と楽になってきました。その間、何回も車を替え、現在は6台目です。今では子供も成長し、仕事をリタイアしているので月に2回程度、水曜日の午後から出発し、木、金、土、日曜日と5日間、年間100日程度の山暮らしでリフレッシュをしています。

 山の生活では何といっても春が一番。肌を刺す寒さも和らぎ、山肌はまだ白いが確実に雪が解けだし、木々の梢が萌えています。シジュウカラやヤマガラたちも忙しく餌台のひまわりの種をついばみ、カエルやへびも活動を始めます。すべてを再生させる春の空気は人にもエネルギーを供給します。山の幸、春の山菜は食卓を賑わせてくれます。ふきのとう、つくし、コゴミ、うど、タラの芽、ワラビ、ゼンマイ、コシアブラ、これらを天ぷらにして自ら打ったそばを食すると口の中は山の香りでいっぱい、春を実感します。春の訪れの極めつけは、身を切るような雪解けの冷水の中に姿を表す白い妖精、水芭蕉でしょう。群生地を毎年、朝早く、人出がない時間を選んでゆっくりと遊歩道を回り、春を堪能しています。落葉松の新緑もすばらしいです。

 夏はイワナ釣りに、ネマガリタケ採り、ハイキングに、テニス、ハンモックに揺られての読書。霊仙寺湖では毎年恒例の天狗火祭り(花火大会)が行われ山に轟きを響かせています。

秋はキノコ狩りに、山芋掘り、山栗に、オニグルミ 。里ではリンゴが大きな実をつけています。枯れた草花や蔓を素材にリース作りもしています。これからやってくる冬に備えて、薪づくりに汗を流すのは快い疲労感があってとても好きな作業です。

 冬は、一面の銀世界。凍てつく夜空にオリオン座。スキーにスノボーが楽しめます。新雪が降った朝にはスノーシューで散歩。リスもエサを求めてベランダに。薪ストーブを前にして熱いコーヒー。至福の時間がゆったりと過ぎていく。飯綱東高原の自然は私たちにたくさんの豊かな恵みと活動の場を与えてくれます。

 子供たちも大きくなり、夫婦2人だけの山生活ですが、行くたびに山暮らしの魅力、快適さに心癒されます。また、ログハウスを拠点に北海道をはじめ各地にオートキャンプや車中泊をしながら巡っています。

                                by 東京都在中 サンペイ